What I see

なにを見て、どう思っているのか。

TOSHIKI KIDA

TOSHIKI KIDA
木田 俊樹

Let's meet somewhere in the world
kida-journal.hatenablog.com/


「はじめての上田でぶらぶら」のつづき

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二度読まなきゃ読書じゃないと、松岡正剛さんはいう。昨年につづいて上田に行ったのは、訪れる場所もそうだとぼくはおもうからだ。それに忘れられない味がある。

 

ルヴァンの閉店時間に間に合うように、車を飛ばして、高速道路をひた走る。浅間山と時計を交互にチラチラ見ながら、上田へ急いでいた。大河ドラマの客で溢れていた昨年より、落ち街は着きを取り戻していた。着いてすぐに天然酵母のパン屋ルヴァンを訪れた。ここの酸味のある、あんパンをぼくは忘れられないでいる。閉店少し前に着いて安心していたが、そういえばあんパンは人気メニューだったことを忘れていた。あんパンの売り切れに落胆したものの、気を取り直して、量り売りのパンをいくつか購入した。ぼくは店での会話のやりとりが好きで、その店らしさをその会話から感じる。たとえば、珈琲豆屋を営む堅苦しそうなおやじも喋ればおもしろひとだったりする。ぼくは正直に話す。わからないことはわからないというし、おいしかったら、おいしいという。あんパンを買えなかったぼくは、ほかのパンを買った。そのときに、「ルヴァンのあんパン、ぼく好きなんです。」というと、「1時から2時頃に来てくれたらありますよ」と店頭の女性が教えてくれた。薄明かりの店内を気持ちよく出た。

 

それからNaboに立ち寄る。ここは中古本ネット買取のバリューブックスの実店舗で、カフェと本屋が併設されている。昨年上田を訪れた際、上田のおもしろそうな場所を聞くならNaboがいいと松本で朝食をいただいたカフェの店長が教えてくれた。こんなカフェを基地に据えて、作戦会議を開けるのだから上田はうらやましい。その街の図書館や書店のチョイスや品揃えから、見えてくるものをあなどってはいけない。

 

そろそろお腹が減ったので、ベンガルでカレーを食べた。上田の商店街から狭い路地に入ると小さなカバンが掛かっていたからここで間違いない。外から店内の様子が伺えないから、少しの不安をもったまま、ドアを開けた。見知らぬ土地に行くときに、だいたい引っ付いてくる不安が、ひとり旅の魅力だろう。店に入ると一階カウンター席に案内された。ゴールデンウィークのせいか、ぼくともうひとグループの客しか店内にはいなかった。しばらくして、もう二人組の母娘が入ってきて、店が閉店となった。ぼくはラッキーだ。メニューを見て即座に、ベンガルカリーを注文する。はじめての店では、王道のものを注文することを心がけている。何席かあるカウンターの中央にひとりで座っていた。目の前でカレーが作られるのをじっとみる。

 

お腹いっぱいになったし、風呂に入ろうとおもって、別所温泉へ向かう。もう当たりは真っ暗。Googleマップを頼りに、市街地のちょうど反対の山を登っていく。市街地から車で30分ほど行くと、小さな温泉街が現れる。そうそうぼくは硫黄温泉が大好物だ。パクチーのような、ブルーチーズのような、発酵食品のような、においを通り越した先にあるあの味の魅力をぼくは愛してやまない。別所温泉はそういった温泉だ。温泉街にはいくつか共同浴場がある。そのうちのひとつ大湯にぼくは浸かった。ここは湯しかない。入口の自動発券機で150円を支払い、番頭に手渡して、暖簾をくぐると、すぐに脱衣所がある。簡素な棚に脱いだ服を放り込み、浴場へ向かう。シャワーはなく、カランだけ。さっと体を洗って、硫黄の匂いのする湯船に肩まで浸かる。

 

しばらく浸かっていると、昨年と同じことを繰り返していることに気づいた。再訪や再読など、反復することによってわかる違いをぼくは楽しんでいるようだ。やっていることは同じなのに、違うように感じるとき、ぼくはぼくの世界の広がりに気付く。

 

二度行かなきゃわからないことは確かにある。