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TOSHIKI KIDA

TOSHIKI KIDA
木田 俊樹

Let's meet somewhere in the world
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満塁逆転ホームランの翌日、ソンタグの様式

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プロ野球では打率3割を超えればいい打者だといわれる。バッターは打席に立った時に相手ピッチャーの投げる球、一球一球をすべて打ち返そうとおもっているはずだ。その結果が、打率3割ならいいバッターとなる。ランナー満塁で一発でれば逆転の場面でも、それは変わらない。バッターは一球一球打ち返そうとおもっている。

 

大学のサッカー部のひとつしたの後輩がサッカー日本代表に選ばれた。当時からひたすら目標に向かっていた姿を思い出す。いまの報道からわかるように、彼の選んだ道は王道ではない。このときぼくの頭に、スーザン・ソンタグの「様式について」と小山田咲子の「えいやっ!と飛び出すあの瞬間を愛してる」が思い浮かんだ。

 

ルーク・スカイウォーカーが辿った道を歩めば英雄になるわけではないし、加藤と同じようにすれば日本代表になれる訳ではない。理解しなければいけないのは、スタイルであって、それは、やり方のことだ。

 

「パルミジァニーノ、ポントルモ、ロッソ、ブロンツィーノのような、あるいはガウディ、ギマール、ビアズレー、ティファニーのような芸術家は何かはっきりしたやり方で様式を研ぎすます。彼らは様式に専念し、表現する内容よりも表現の仕方に強調点を置く」(スーザン・ソンタグ「様式について」より)

 

内容じゃなく、やり方をみる。ルークから、加藤から、学ぶことは、夢中になるなにかを見つけること。それが見つかれば、関わることすべてを、数年先を見据えて計画的に、徹底的にやることだ。

 

「希望とか目標にしてもそうで、要はどれほど夢中になれるかということのような気がする。私の周りでもやりたいことをやっている人というのは皆すごく対象に集中して、気持ちと体を全部そこに向けて動いている。その結果ある価値を手に入れた人に対して運が良いとかいう安易な言い方する人がいるが、それはちょっとどころじゃなく間違っていて、やりたいことにまっすぐ向かう人は自分でも努力していると意識しないくらいの自然さで可視不可視の努力をしていて、その前向きさは周りの状況すら自分に向いた方向にねじ込んでゆく強さを生むから、結果がついてくるのだと思う。」(小山田咲子「えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる」より)

 

逆転満塁ホームランを打った翌日も、バッターは一球一球すべてを打ち返すつもりだ。打席に立ち続ける限りそうにちがいない。代表に呼ばれた加藤が「僕は一番下」と言った。今日も夢中になってボールを蹴っているにちがいない。うれしい便りであった。(なぜ冒頭で野球の話をしたのだろう、サッカーの話なのに)