What I see

なにを見て、どう思っているのか。

TOSHIKI KIDA

TOSHIKI KIDA
木田 俊樹

Let's meet somewhere in the world
kida-journal.hatenablog.com/


文脈のある本棚

スポンサーリンク

f:id:toshikida:20160116231528j:plain

 

1月のはじめに、欲しい本があったので、恵文社一乗寺店に行きました。よく行く本屋さんなので、どこに何があるのかだいたい目星がついています。

 

「SPECTATOR」の最新号を探しに、本屋側の入り口から薄暗い明かりの中を、小説コーナーとミヒャエル・エンデ特集のテーブルを横目に、海外小説とビート文学特集を素通りして、雑貨が置いてある部屋に行ったら、やっぱりそこにありました。

 

家でゆっくり読もうと、上から2番目のものを手に取って、レジに向かおうと顔を上げたら、料理本のコーナーに、宮本常一「塩の道」が置いてありました。なぜ?と考えて、内容を思い返します。

 

料理をするのに、塩の道の内容は必要ありません。知っているとおもしろい話が書いてあるだけです。日本の塩の流通の話から当時の生活を推察したり、稲作技術から伊勢神宮に繋がったりと、宮本さんが全国各地に歩いて行って、聞いたことを独自の私見で書かれています。これがおもろい。歴史の違う見方があることに気がつきます。

 

つい手を伸ばしてしまいそうなところに置いてある。でも、前に読んだから、とさらに横に、目をやると、谷本陽蔵「お茶のある暮らし」で目が止まった。自分なりのコーヒーの淹れ方を覚えたので、今度はお茶のおいしい飲み方を学びたいと思っていた僕にクリティカルヒットしました。すぐに、目次を確認して、レジに行きました。

 

以前に、 SNSのタイムラインに、元恵文社の店長の堀部さん(独立して河原町丸太町で誠光社をはじめられた)のインタビューが流れてきました。それとも「善き書店員」を読んだときだったかな、どっちか忘れましたが、そのときに言っていた「文脈のある本棚」とはこういうことなのだと思う。

 

目的の本を探しに本屋に行けば置いてあることはよくあります。大型書店に行けば、ほぼあるでしょう。amazonなら大体揃っています。

 

目的の本がない、あるいは、興味があるけれど何を手に取ればいいのかわからない、ときに、ぼんやり考えながら、本屋に行って、いつのまにか手に本を持ってレジに並んでいること、を提供できるのは、文脈のある本屋だけだと思う。ランキングも、売れ筋も人気もPOPもない、書店員が好きなものを好きなように選んだ本棚のある本屋が好きだ。買うはずのない本を買ってしまう本屋が好きだ。それが本を読む楽しみのひとつだと思う。