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TOSHIKI KIDA

TOSHIKI KIDA
木田 俊樹

Let's meet somewhere in the world
kida-journal.hatenablog.com/


パタゴニア好きな訳

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パタゴニアが好きだ。大学2年の20歳の頃、友人が青いDASパーカーを着ていた。このかっこいいジャケットなんやろと思って、聞くと、パタゴニアだという。左胸にある雪の積もった山(フィッツロイ)のタグが目に焼き付いた。このときはじめて、ぼくはパタゴニアを知った。大学生にとって私服は死活問題だ。

 

それからちょっとして、大学の授業をサボって(安心してほしい、ほとんどの学生は少なくとも一度はするし、なんなら海が見たいとか訳の分からない理由で、学校をさぼる)、校内の書店をぶらぶら歩いていたら、一冊の本が目に止まった。

 

『社員をサーフィンに連れて行こう』

タイトルに釘付けになった。経営のカテゴリーの棚に、こんなタイトルの本を置いてあっていいのか、なんて思った。それはアウトドアメーカーのパタゴニアの創始者、イヴォン・シュイナードの本で、経営についての本だった。といっても、経営のことや社会のことを、何も知らない僕が、勝手に当たり前だと思っていた経営のこととは、まったく別のことがそこには書かれていた。好きなことをやっていても、うまくいってるじゃないか。

 

私が「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出したのには、実はいくつか狙いがある。第一は「責任感だ」だ。私は、社員一人一人が責任を持って仕事をしてほしいと思っている。いまからサーフィンに行ってもいいか、いつまでに仕事を終えなければならないかなどと、いちいち上司にお伺いを立てるようではいけない。もしサーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして、遅れを取り戻せばいい。そんな判断を社員一人ひとりが自分でできるような組織を望んでいる。

 

それ以来、僕はパタゴニアが好きになった。かっこいいデザイン、およそ街で着るのに十分すぎる機能の服、ただそれだけがずっと好きでいる理由ではない。昨年、タイトルに惚れて買った本に、石川直樹『全ての装備を知恵に置き換えること』がある。その冒頭にパタゴニアのことが書かれていた。

 

パタゴニアはカウンターカルチャーとしての理想を掲げ、団体よりも個人、ツアーより一人旅に重きを置く。オーガニック・コットンやヘンプ素材などを使ってシャツを作り、ペットボトルをリサイクルすることによってフリースを作った。何が必要かを考える前に「何が必要ではないか」を考え、徹底的に使い手の側に立った装備を提供する。僕はパタゴニアの装備でアラスカやヒマラヤの高峰に登り、北米の川をカヤックで下り、星を見ながら太平洋の海を渡った。旅に行く際、どこかしらにパタゴニア製品をぼくが身につけているのはこのメーカーが作るものを心から信頼しているからである。

 

以前、パタゴニア直営店でスタッフの方と話していたら、実際『社員をサーフィンに連れて行こう』で言っているように、いい雪のときにいきなり休んだりはやっぱりしないけれど、休みのシフトを決めるときに、休みの理由がアクティビティーなら確実に休めると、なんなら行ってこいと言われるとおっしゃっていた。

 

ぜひ直営店に行って見て欲しい。パタゴニアのスタッフは、冬なのに日焼けしていたり、体格のいいひとが多い。商品についての知識はもちろんあるし、実際にフィールドや日常で着ているので、細かなフィードバックが得られる。

 

出来る限り多くのパタゴニア従業員を真のパタゴニアの顧客で占めることだ。自分がデザインし、作り、販売するウェアを使っていればこそ、製品との直接の結びつきを保てる。わざわざ「顧客の身になって考える」よう努めなくても、自分自身が顧客だから、製品が期待に添わないと悔しいし、期待どおりだと誇らしさを覚える。同じ種類の中で最高の製品を作りたい会社が、さほど製品に思い入れのない人間を雇うというのは、理解しがたい行為だ。(『社員をサーフィンに行かせよう』より)

 

「お客さんお似合いですよ」と思ってもいないことを言わずに、「友人のように親切にされること」も、好きな理由だと思う。