What I see

なにを見て、どう思っているのか。

TOSHIKI KIDA

TOSHIKI KIDA
木田 俊樹

Let's meet somewhere in the world
kida-journal.hatenablog.com/


ベストブックス2015

スポンサーリンク

2015年は、自分史でもっとも本を読んだ年だった。本を読んで気づいたことの中で、いちばん好きなことは、本は繋がっていること。その話は、また今度にしようと思う。

 

それでは、昨年読んだ本のベスト3を。

 

第1位 井上ひさし「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」

作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、誰にでもわかる文章で書くということだけなんですね。(本文抜粋) 

 

この本をぜひ読んでほしい。400字の感想(題名もつけて)を書いてくれるなら僕の実費負担で送ります。コメントなりメールなりください。どんな本を読んでいいかわからない人、うまい文章を書きたい人、国語の先生、日本語に興味のある人、ほしい人、買って送ります。ほんまに読んでもらいたいから。いつの間にか我々の手に離れていったものを、我々の手にとり戻さなければいけない。「自分の値打ちは自分で、自分たちで決める。」

 

そういえば、以前友人に紹介したら、字引(辞書のこと)が欲しくなったと言っていた。  

第2位 宮本常一「塩の道」

2015年は、民俗学にどっぷはまった一年だった。はじめて宮本常一の著書「塩の道」を、2月に読んだとき、一晩で読み切ったことを覚えている。それ以来、手元に彼の未読の本を置くようにしている。それ以来、どこに行っても、本の内容が頭から離れない。

 

生活の立て方、自分らの周囲にある環境にどう対応していったのか、自然や環境のかかわりあいのしかたの中に、生まれでてきたものが、我々にとっての生活のデザインなのではないだろうか。」「われわれが現在に至るまで努力しつづけてきた、生活を豊かにするための工夫、これは再評価してもいいものではなかろうか(本文抜粋)

 

昨年は、日本国内で行きたい場所に行ける限り行った。宮本常一を読んで以来、どこかに行くときには、宮本民俗学的な目になる。どこに行っても、自分なりに文化や歴史を理解して楽しむのが上手な旅路のように思う。二千年ほど前に「もともとそういう大きな木がそこにあった」ということが日本の文化の出発点だったなんて考える人は少ないだろう。ぜひ、教科書には決して載らない、生活に寄り添った歴史を。

第3位 バックミンスター・フラー「地球船宇宙号操作マニュアル」

最初のページからこの本好きやわ、と思った。

 

おとなになるにしたがって生まれてくる偏狭さとは反対に、自分たちが抱えているできるだけ多くの問題に対して、できるかぎりの長距離思考をつかってぶつかっていくということに、私はできれば「子供じみた」最善を尽くしたい。

 

なんて、僕が出会ってきた大人は言わなかった。

 

子供のことを、自分たちが教科書的に獲得してきた知恵の数々を詰め込める、空っぽの頭という容器だと思い込み、そうやって立派に教育が終わるまで、そんな詰め込みが続けられる。

 

とさえ言う。

 

なんで私たちが、自然にわき起こる子供たちの包括的な好奇心を無視してきたのか。

 

こういうあまりにも単純化されたものの見方は、統合された経験が持つ重大さについて、私たちが気づく可能性をあらかじめ排除してしまう。だから人を誤らすし、盲目にもするし、弱らせもする。

 

絶滅は過度の専門分化の結果である。

 

この本はどういう本なのかもうわかるだろう。

 

そうやって、フラーは何年も先のことを見ていた。僕は、未来のことをうきうきと話す人が心底好きなようだ。「あらゆる人にして欲しいのは、はっきりと考えることなのだ」フラーは言う。僕もそう思う。 

番外 片岡義男「エルヴィスからはじまった

もう解約してしまったけど、昨年一年間はワードプレスでひっそりと実験的にブログを書いていた。その文章はもうネット上になく、MacにXMLファイルで保存しているだけだから、僕しか見られない。ブログを書くなら、おもしろい文章やうまい文章を書きたい、と思う。いろいろ自分の好きな作家の本を読んだり、紆余曲折して(その時のことは、文章を上手く書くときに読むべき本としてエントリーにしよう)、一冊の本のある一篇に出会った。それがこの本。「メンフィスの7月」からはじまる一篇だった。

 

この本は、ある時代に、エルヴィス・プレスリーがどれほどの影響を人に与えたかについて書かれている。この本を読んで僕が学んだのは、エルヴィスのことだけではない。ドキュメンタリーとして書かれている本の衝撃だった。ドキュメンタリーというものは、事実を書かなければいけない、そこにフィクションを加えることは許されない。実際に起こったことの事実を、ただ並べるだけでは、おもしろくない。そこに、作家の苦悩がある。

 

だからこそ、ある一冊の本の、ある一篇には、人の心を動かす力がある。好きなことについて書いてあり、それが魅力的な文章なら、新しい旅にでるきっかけさえ与えてくれる。